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2015-07-14

>伏見区深草飯食町<
私は聞かれると「京都出身です」とこたえるのだけれど、育ったところ「京都市伏見区飯食町」は言う人に言わせると「全然京都ではない」らしい。
初めてそういう指摘を面と向かって受けたのは大学の授業での自己紹介の時。「出身は京都です」といったところ「京都の何処?」と聞かれたので「伏見です」と言ったら上記のような事を言われた。
まあ、その人はお茶の講義をしたり、所謂京都っぽい事を研究している人だったので、そういう事を言ったんだと思うけど。
で、そのとき初めて、自分の生まれたところを否定された気分になった。もちろんというか、私の育ったところ、京都市伏見区深草飯食町は雅やかなところでもないし、間違いなくガラの悪いところ。だけど、まあ、藤森神社やお稲荷さんや、宝塔寺、七面山、鎮守池なんかは私の宝物の場所でもあるし、そんな差別的な事を言う人の事なんて気にしなければいいんだけど、やっぱりちょっと、自分の故郷を否定する気持ちが芽生えました。それが20年ほど前の話かな?
作品を発表するようになると「寺島みどり 京都出身」というようにセットで書かれる事が出てくる。そうなるとちょっと自分でも所謂京都らしい事をしなければいけないのかな〜とか思う事があったりしたんだけれど、数日前、実家に帰る事があって気がついた!
「このグレー、今の私の色彩だ。」
それは名神高速道路の橋脚の色。疎水の流れの色。疎水に架かる橋の石の色。そして、京阪電車が通る音、高速道路の下で聞こえるあの独特な空気がうなるような音。藤森駅から見る夕暮れ、川面に映る灯。
どこかとりとめがなく、さまよいながらそれでも存在している。
今の作品の原風景が此処にある。そう気づいたとき、今まで封印していたような幸福感が蘇ってきた。じんわりと。
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